生涯学習教育研究センターの発足
初代センター長
原 秀三郎

 生涯学習社会の構築に向けて、大学開放が大きな課題となっている。静岡大学ではこれまで公開講座の実施や社会人入学、施設開放などいろいろな取り組みがなされてきた。しかし大学開放を一層押し進め、本格的かつ総合的に生涯学習に対応する体制を整えるためには、学内に教育研究機関を設置する必要性が高まってきた。こうした機運の中で、平成9年4月に全国第15番目の学内共同教育研究施設として静岡大学に生涯学習教育研究センターが設置されることになったのである。
 開設以来この約1年間はセンターの陣営を整えるための準備に費やされた。専任教官の任用、教育研究担当教官の選出、資料室の確保といった学内手続きに加え、県・市等地域の生涯学習関連機構との連携・協力体制を整えるべく努めてきた。特に専任教官には、地域社会との連携に特徴を出すべく、大学と博物館施設を結びつける生涯学習の推進と、生涯学習ネットワークシステムの構築を中心とした生涯学習論を進め得る教官を選考し、生涯学習先進地域に位置する静岡大学としての特徴を出すことに意を注いだ。そして専任教官の着任をまって、静岡大学生涯学習教育研究センターの発足を地域にアピールするため、開設記念事業としてシンポジウム『大学開放と生涯学習』を実施することとしたのである。
 平成10年2月21日に開催した、シンポジウム『大学開放と生涯学習』は、講師、パネラーに生涯学習に深い経験をお持ちの多彩な方々をお迎えすることができ、加えて、学内教育研究担当教官の参画と運営委員の協力を得て、佐藤博明学長及び清水明文部省生涯学習局企画官の臨席のもと、盛況裡に終えることができた。県内生涯学習関係機関および諸団体の職員や、生涯学習に深い関心を寄せる県民の方々の参加は300名にのぼり、大学における生涯学習教育研究センターの設置理念を地域に周知することができたように思う。
 私はこの3月をもって静岡大学の定年を迎えるため、生涯学習教育研究センターの本格的な事業展開は、新センター長と専任教官の活躍に大いに期待するところである。終わりに臨み、そのための不可欠な条件として、管理委員会、評議会を中心とした早急な学内協力体制の整備を強く要望したいと思う。
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