公開講座委員から
今後の公開講座の一課題
農学部教授
大石 惇

 「生涯学習教育研究センター研究会」が静岡大学内に発足した。この研究会は、5年目を迎えた生涯学習教育研究センターの在り方に、反省を加えつつ今後のよりよい事業を企画して行こうとする趣旨のものである。
 その第1回の研究会として、さる2月28日(水)に、大学会館研修室で開かれた。本学センターの2年先輩(平成7年設置)に当たる宮崎大学からセンター助教授の原 義彦先生及び1年先輩(平成8年設置)の富山大学からセンター教授の大石 昴先生をお招きして、テーマは「生涯学習教育研究センターの在り方と諸事業」という内容で話し合われた。
 両大学とも、講師謝金などの予算問題、講義内容と受講者の数の問題、県や市が開く公開講座と大学が開く講座との「住み分け」の難しさなど、やはりいずれの国立大学のセンターも様々な困難に遭遇しながらも、懸命に新しい企画を打ち出して奮闘されている姿に接することが出来た。例えば、参加型・体験型学習などを取り入れた事業の企画、ニーズを創生するような事業の展開、学内の教職員の啓発、学外の機関とのチャネル形成、大学の授業科目の開放、出前(高校、町村などに)公開講座、県内のネットワーク公開講座、インターネットやSCSによる公開講座など様々な取り組みに挑戦されていることでした。
 ここで考えさせられたことは、今までの公開講座と異なる取り組みとして、両大学ともインターネットやSCSによる公開講座の試みであった。今までの講座は、受講者が一定の時間に同じ場所に集まって、講師と同じ空間で講義を受ける。それに対して、SCSは同一時間ではあるが空間が異なり、更にインターネットでは時間も空間も共有することが無い場合もでてくる。動きや表情、色や音から来る「生」の演奏の雰囲気と、映像で居ながらにして聞くことが出来るテレビやビデオやCDとの差のようなものだろうか。今までの公開講座とは、受け取られ方や参加の仕方など大きく性格が異なるものになって行くように感じる。これからは高度の情報化指向の中で、当然考えられねばならないことではある。したがって、画一的ではなくそれぞれの良さと教育効果を考えながら、講義のテーマと内容、受講者の年齢層、講師の制約などを加味して、使い分けて行く必要があると思われる。

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