University of Minnesotaの地域貢献〜Extension Service、Minnesota International Centerでのインタビュー
寺尾静乃

 ミシシッピ川を挟んで広大なキャンパス(写真1)が広がり、長い冬は雪に覆われ、春は芝生や花が眩しいほどのキャンパスの中を、ローラーブレイドやマウンテンバイクで学生が行き交う。ミネソタ州ミネアポリス、生徒数約5万人、300もの分野で学位が取得できる、全米でも大規模なミネソタ大学で、2002年1月から5月までインターンを経験した。私は留学生や外国人研究者に対するビザ等のアドバイス、カウンセリングのサービス等を行う国際交流オフィスでインターンをしていたが、以前大学で生涯学習の事務をしていた経験があり、地域と大学の結びつきに興味があったため、ミネソタ大学の主に地域貢献事業をおこなっているオフィスにインタビューに行った。ここでそのインタビュー・事業内容を紹介したいと思う。
 ミネソタ大学はLand Grant University という、元々地域の農業の振興に寄与することを大きな目的として設立された大学であり、このような歴史的背景をもつ大学になかでExtension Service は、特に実地教育、地域サービスを主な役割として持つ、地域貢献、地域との共同研究のためのオフィス。コミュニティの発展と活性化、食料と環境問題、青少年教育プログラムなどを重点領域とし、大学の学部と共同でワークショップ、会議、短期学習プログラム等をミネソタ州各地で行っている。
 ミネソタ州を7の地域に分類、さらにその中を87のcountryに区分し、各countryにオフィスを置いている。250人のスタッフ、研究者が各countryに住んで、コミュニティと大学を結ぶ役割を果たし、実地研究、地域との共同研究をしている。また20人ほどの市民がオフィスの委員会に参加し、countryのニーズを報告し、企画運営に参加する。 160ものワークショップが各地で開かれ、その分野はコミュニティ、環境、家族、農業、ガーデン、生活の6つ。テーマは「食物の栄養学」「子育て」「ボランティア活動」「ガーデニングデザイン」「農地・土壌・灌漑」など生活に密着した、またその地域性を出したもの。またインターネットを利用したオンラインコースも「イベントマネージメント」「コミュニティ経済分析」「青少年教育」等15コースあり、無料で自由に受講できる。
 その他に、地域と留学生との強い結びつきを実現しているのがMinnesota International Ceter(写真2)。大学からは独立した非営利団体で、地域の国際化を促進することを目的とし、インターナショナルオフィス、他のオフィスと協力して、留学生、外国人研究者等に、様々なプログラムを提供している。Dinner Hosting Program は、International Center のメンバー(会員)であるミネソタのコミュニティの一般家庭を訪問する。ホストの家庭では、ディナーを提供し、車のない学生のためには送り迎えのサービスをする。このプログラムは、留学生にミネソタの家庭の日常生活を経験させる、異文化を共有することを目的に、通年行われる。International Classroom Connection Program はミネソタの小、中、高校に留学生が訪問して、その国の文化の紹介、プレゼンテーションを行う。参加者は、年4回開かれるトレーニングに参加し、現在実際に教えているスピーカーからの話を聞き、効果的な教授方法などについて学ぶ。Great Minnesota は、2人から8人の留学生のグループが、2〜3日の日程で、ミネソタの郊外でホームスティをし、そのコミュニティの学校で自国の文化についてのプレゼンテーションをする。
 このように、ミネソタ大学では様々な方法で大学と地域の連携を築いている。コミュニティに様々な形で「学ぶ」機会を与え、学生、特に留学生など経験や知識を地域のために発信できる者たちに、その機会を提供する、コミュニティにスタッフを置くことで地域のニーズを十分に取り入れる体制を整える等、大学から地域、地域から大学へと双方向の結びつきを実現している多くのプログラムがあった。

参考:ホームページアドレス University of Minnesota Extension Service http://www.extension.umn.edu/ Minnesota International Center http://www.micglobe.org/

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